IT業界で活躍するITエンジニアには、知識と経験が求められます。この記事では未経験からIT業界への転職を目指す方が知っておくべき資格を紹介していきます。
基本情報技術者
基本情報技術者の資格は独立行政法人IPA（情報処理推進機構）が運営するIT国家資格で、試験では情報技術全般の知識を問います。基本情報技術者の資格を取得すると、IT知識を一定以上身に付けていることの証明につながります。
基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門とされています。IPAが定めるIT標準スキル（IT関連サービスの提供に必要とされる能力の指標）ではレベル2とされており、IT系の資格試験では比較的難易度は低めとなっています。
基本情報技術者の資格は実務未経験の方のIT業界への転職には必須と言えます。なぜならこの資格はIT企業が新入社員に取得を促すほど現場では基本中の基本とされているからです。実務経験が重視されるIT業界において未経験の人間が転職する際には「やる気」が主なセールスポイントとなります。基本情報技術者の資格を取得することはその「やる気」を証明する最低限の条件となります。
注意しなければならないのは、基本情報技術者の資格を持っていてもあまりプラスの評価につながらず、逆に持っていないことがマイナスの評価になってしまうに過ぎない、という認識でいなければならないということです。
試験勉強については独学、または資格専門のスクールに通うという2通りの方法が考えられますが、時間があまりない社会人の方は過去問を多く揃えた試験対策の書籍での独学で十分です。基本情報技術者試験は過去問と類似した問題が出題されること多いため、過去問を徹底的に研究すればかなりの確率で合格が期待できます。
応用情報技術者
応用情報技術者試験はIPAが運営する情報処理技術者試験の一つで、基本情報技術者試験よりも高度な知識が問われます。IT標準スキルではレベル3とされています。
こちらも基本情報技術者試験と同じで過去に出題された問題を研究すれば多くの問題に対応できます。また、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験は情報技術全般の知識が問われますが、一部が分野ごとにわけられた大問をいくつか選択して解答する選択問題となっているため、自分の得意な分野をいくつかマスターしておくことで合格に近づきます。
また、応用情報技術者の資格が未経験者のIT業界への転職に有利かというと、基本情報技術者と同様に絶対的な評価の基準とはならないというのが現実です。
ITパスポート
ITパスポートは、ITを利用するすべての社会人・学生が身に付けるべきITの基礎知識を評価する資格で、正直に言うと検定のような意味合いが強いです。
そのためIT業界で働くための武器にはなりにくく、例えば基本情報技術者の資格を取得するつもりならわざわざITパスポートを取得する必要はないと言えます。
参考までに出題分野としては、経営全般を問うストラテジ系（35問程度）、IT管理を問うマネジメント系（20問程度）、IT技術を問うIT技術系（45問程度）の３つがあり、3分野の総合点が6割以上でありかつ3つの分野すべてにおいて3割以上の点数をとれば合格となります。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク構築における専門的な知識を有しているかが問われます。ITエンジニアには様々な肩書があり、基本情報技術者や応用情報技術者は一般的にプログラマやシステムエンジニアが取得する資格とされていますが、ネットワークスペシャリストはネットワークエンジニアやインフラエンジニアを目指すのに役立つ資格とされています。
資格取得の難易度は高く、IT標準スキルではレベル4とされており、これは試験で認定されるレベルの中で最高となります。
また、プログラマやシステムエンジニアなどの開発系のITエンジニアに比べて、ネットワークエンジニアなどのインフラエンジニアの場合は基礎知識があれば経験は業務を通じてフォローできるとされているため、ネットワークスペシャリストの資格取得が転職の際に（たとえ未経験であっても）評価されることが多いです。
さらにネットワークスペシャリストの資格を取得することで、他の高度な資格の取得の際に優遇措置が取られたり（例、弁理士試験の理工Ⅴ[情報]科目免除）、特定の職種における任用資格が得られたり（例、都道府県警察のサイバー犯罪捜査官の任用資格）します。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストの資格試験は、データベースを構築・運営するための知識が問われます。こちらもIT標準スキルでレベル4とされていて、かなり難易度が高い試験となります。
データベースの構築・運営に携わるデータベースエンジニアへ転職するには、プログラマやシステムエンジニアとしての実務経験があると有利ですが、先ほど紹介したネットワークエンジニアと同様にデータベースエンジニアもインフラエンジニアの一種で、データベーススペシャリストの資格取得により基礎知識を有していることが評価されます。
また、過去2年以内に応用情報技術者試験に合格していれば、「午前Ⅰ」の科目免除の優遇措置が取られます。（データベーススペシャリスト試験は「午前Ⅰ」、「午前Ⅱ」、「午後Ⅰ」、「午後Ⅱ」の4科目で構成されます）
いかがでしょうか？IT業界は豊富な知識と実務経験が求められるため、ただでさえ未経験からの転職が難しいとされています。しかし、資格取得を通じて基礎知識を有していることを証明すれば評価につながることもあるので、自分がどういったITエンジニアになりたいのかを決めたうえで資格取得に挑戦するとよいでしょう。
